今年も残り少なくなりました。

皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。

 今年も夏は酷暑、その後も秋とは思えない暖かい日が多く、紅葉の見頃も遅れていましたね。その後、季節外れの暖かさと言われる日があったかと思うと、その後に急に気温が下がったり、普通の気温の日があったりと寒暖差も激しかったように思います。

「寒暖差疲労」という言葉も聞きました。寒暖差に対応して身体機能を調節するのにエネルギーを使ってしまって、疲労やめまい、食欲不振などの症状が出ることがあるそうです。対応するには、軽い運動も効果的と聞き、何につけても運動は健康のために必要だと思います。少しずつでも運動を習慣にしようと思います。

 今年の冬は、平年並みか寒いそうです。ここ何年か暖冬と言われていたので、平年並みの寒い冬というのが実感できませんが、体調管理には気をつけようと思います。
 皆様も、健康に気を付けて、お過ごしください。

2024年12月

弁護士 土  肥  尚  子


*事務所は12月28日から1月7日までお休みです。




今年もあっという間に終わろうとしていますが、
皆様いかがお過ごしでしょうか?

 私は、寒くなってきたにも関わらず、油断をして薄着で過ごしていたところ、久しぶりに風邪をひいてしまいました。2歳になった子どもは、自宅で突然服を脱ぎだし、下着だけで過ごすこともありますが、元気いっぱい、風の子です。

今年は死後事務委任のご相談を何件かいただき、実際に事務を行いました。自分が亡くなった後に、葬儀や納骨をお願いしたい、墓じまいしたい、水道光熱費の支払いや解約の手続、施設の利用料や病院の医療費の支払いを行ってほしい、というようなご依頼です。

遺言とセットでご依頼いただくことも多いですが、特にだれかに遺産を遺したいという希望はないけれども、自分が亡くなった後に備えておきたい、というご希望で死後事務委任契約のみをご依頼いただくこともあります。
 死後に必要となる手続につき、ご不安がありましたら、どうぞご相談ください。
 皆様も、風邪などひかれないよう、暖かくお過ごしください。

2024年12月

弁護士 川 戸 万 葉


 

終活

~これからの人生を安心して過ごすために

1 終活って何をするの?

 終活が流行っています。人生の終わりを見据えて、今できる対策を考えようということです。一昔前までは、老後は子や親族がいることから考える必要がないものでした。
 しかし、現在は、無縁社会と言われ、また超高齢社会が進行しています。近くに頼れる親族がいない、あるいは親族には頼りたくないと言う人が年々増えています。
 他方、医療や福祉の現場では、その人本人の意思・意向・希望を大事にしようという方向が言われています。
 そこから、自分の老後を自身で思い描き、そのための準備をし、自分らしい人生を歩む準備をするのが終活だと言えます。

2 終活の手順

 終活は、自分の人生を準備するものです。まずは、自分自身が、どんな人生を送っていきたいかを考えることが大事です。
 このためには、エンディングノートと言われるものがいろいろと出回っています。自治体で配っているところもあるようです。これを活用して、記入をしながらいろいろと思いをめぐらすのもいい方法だと思います。
 また、一度、決めてもそれに固執しないことも大事です。自分も社会も、常に変化しています。今の状況に合わせて、また社会や周囲の状況にも合わせて、計画を変更していく柔軟性も大事です。
 そのためには情報収集も必要です。弁護士や各市区の社会福祉協議会、介護保険サービスを利用していればケアマネさんなどに相談してみると新しい情報が得られることもあります。

3 よく挙げられる課題

 高齢になると直面する悩みは、以下のものがよく聞かれます。
⑴ 足腰が弱って、買物や銀行からお金を下ろしてくるのが大変。
 高齢になると足腰が弱るのは誰にでも起こることです。自宅内に手すりをつけたり、外出する時の支援などは介護保険のサービスを利用することができます。 
 しかし、買物代行や銀行からのお金を下ろしてくるなど、お金を扱うことには利用できないのが一般的です。この場合、社会福祉協議会が行っている地域福祉権利擁護事業(全国的には日常生活自立支援事業)で預貯金の管理や払戻の援助などをしています。判断能力に課題があることが要件であり、事業のキャパシティーもありますが、利用できないか相談してみましょう。
 昨今は、スーパーやコンビニの配達サービスも充実していますので、そちらの利用も検討してみましょう。

⑵ 認知症になって自分の財産の管理ができなくなるかもしれない。
 日本の現在の高齢化率(65歳以上が全人口に占める割合)は29.3%、世界トップの超高齢社会です。今後もその高齢化率は増加し続けます。また、一人暮らしの高齢者も増加しています。
⑶ 入院や施設への入所の際に、身元保証人・身元引受人が求められる。
  病院の入院の際には、身元保証人がいないからと言って入院を断ってはいけない、との通知が出ていますので、治療の必要があるのに入院できないということはありません。
 有料老人ホームなどの施設入所に際しては、身元保証人・引受人が必要とされるのが一般的です。
⑷ 自分の葬儀や納骨は誰が行ってくれるのか、心配。
 死後事務と言われているものです。

4 備え

 このような課題に備える制度として、任意後見契約、財産管理契約、死後事務委任契約、遺言などがあります。

⑴ 任意後見制度、財産管理契約
 認知症などの判断能力の低下に備え、自分が信頼できる人(仮に「Aさん」とします)を予め自分の後見人として指定しておくのが任意後見契約です。判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、その監督の下でAさんが任意後見人として仕事を始めます。任意後見監督人や家庭裁判所という公的な監督があるという安心感がある制度です。
 判断能力低下の前にもAさんの支援が受けられるように財産管理契約も同時に締結することが多いです。
 任意後見契約と財産管理契約を締結していると、Aさんを施設入所の際の身元引受人として、施設入所が可能となる場合がほとんどです。但し、Aさんは親族ではないため、債務の保証はできません。
 Aさんとの財産管理契約の内容にもよりますが、日常的な金銭管理や買物等につき支援を受けることも可能です。どのような支援が必要か、可能か、Aさんとよく相談しましょう。
(2) 死後事務委任契約
 自身の葬儀や納骨(死後事務と言われています)について不安がある場合、死後事務を任せる内容の死後事務委任契約を締結する人も増えています。
 前記の任意後見契約と財産管理契約を締結している信頼できるAさんと死後事務委任契約も締結し、葬儀や納骨を依頼するという場合も多いです。
 葬儀についての希望も、きちんと伝えておきましょう。死亡の際に連絡してほしい人は名簿にして渡しておきましょう。葬儀のやり方や納骨の場所などについてもきちんと伝えておけば希望通りになります。
 葬儀等にかかる費用については、大まかな金額を預けておくことも必要となります。
(3) 遺言
 遺言によって自分の財産の死後の行方を決めておくことが出来ます。法定相続人がいない場合、遺言が無ければ遺産は国庫に納められます。お世話になった人や団体に寄付したいなどの希望があれば、遺言を書いておくことで実現できます。
 また、遺言執行者を決めておくとその人が遺言を責任もって実現してくれます。前記のAさんを遺言執行者とし、生前からの財産管理、死後事務を依頼し、最後に遺言執行者として遺産を希望通りに寄付等してもらう、ということも出来ます。
 自身の希望をよく伝えておいて、老後から死後まで、サポートする体制を作っておくと安心です。

5 高齢者等終身サポート事業

 高齢者の悩みに対応して、身元保証や死後事務、日常生活支援等のサービスを行うのは、弁護士等の専門職も行っていますが、それ以外の事業者も増えてきています。
 これらの事業者の中には、料金体系が明確ではなく、高額な前払い金や預け金を要求したり、業者への寄付や遺贈が必須となっているなどの問題がある場合があります。国民生活センターにも苦情や相談が寄せられています。
 このため、これらの事業を「高齢者等終身サポート事業」として、国が2024年6月11日にガイドラインを発表しています。ただ、ガイドラインですので、違反しても罰則はなく、特定の監督官庁もありません。優良な事業者を認定するような制度もありません。今後、国による更なる施策が期待されます。

6 終わりに  

 超高齢社会、かつ、誰でも認知症になり得る社会で、誰もが安心して自分の人生を全うできるよう、制度をよく知って、上手に利用しましょう。

暑中お見舞い 申し上げます

 今年も猛暑となりましたが、皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか?

 世の中全体、IT化、デジタル化が進んでいますが、裁判も急速にIT化が進んでいます。
 以前は訴訟や調停の期日は、必ず、裁判所に足を運んでいたものですが、現在は、web期日ということで、事務所にいながらパソコンの画面で期日に参加できます。裁判所まで行かなくていいので、楽だし、行き帰りの時間も節約できます。ただ、やはり、裁判官も含めて、当事者同士が現実に顔を突き合わせて話をすることの意義もあるように思います。

 「事件は現場で起きている」という映画のセリフがありましたが、直接会って話す、問題になっている場所があればそこに行ってみる、そうするとそれまで理解していなかったことが理解できたり、新たな発見があったりします。
 楽な方に流されず、人や現場を大切に、今後も仕事をしていきたいと思います。

2024年 盛 夏
弁 護 士   土 肥  尚 子



 私は8月12日(月)から16日(金)まで、夏休みです。




暑中お見舞い申し上げます

 暑い日が続いておりますが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
 私は、7月で子どもが2歳になり、子どもが体調を崩すことが少なくなってきたのに伴って、私の体調も安定しております。
 体が硬くなっていると感じることが多くなってきた今日この頃ですが、自分でストレッチをすると手加減してしまうため、ストレッチ専門店で柔軟をしてもらいました。

 何度かストレッチをしてもらった時に、トレーナーさんから、「川戸さんは筋肉が平均的な女性と比較しても少ないので、たんぱく質をとってください」とアドバイスをいただきました。柔軟をしても、筋肉量が少ないと、すぐに硬い状態に戻ってしまうのだそうです。
 妊娠中も、産婦人科医から、とにかくたんぱく質をとるようにと言われていましたが、期限があったから頑張れました・・・。無理です、という顔をしていたのでしょうか、トレーナーさんからは、いまはコンビニでたんぱく質が入っているお菓子や飲みものが買えるから! 頑張ってください! と明るく声掛けをしてもらいました。

 妊娠中も、産婦人科医から、とにかくたんぱく質をとるようにと言われていましたが、期限があったから頑張れました・・・。無理です、という顔をしていたのでしょうか、トレーナーさんからは、いまはコンビニでたんぱく質が入っているお菓子や飲みものが買えるから!頑張ってください!と明るく声掛けをしてもらいました。
 ポテトチップスは封印して、たんぱく質入りのチョコバーを食べるようにしたいと思います。

2024年 盛 夏
弁 護 士   川 戸  万 葉

 

 





旧優生保護法

1 旧優生保護法についての最高裁判所の判決

 先日(7月3日)、最高裁判所で、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判で、国に賠償責任があるとする判断が確定したとして大きく報道されました。 
 この判決は、障害を持つ人に対して不妊手術を強制した旧優生保護法を違憲であると明確に判断した点で画期的な判決です。
 法律的には、最高裁判所での争点は、たった一つ、被害者の損害賠償請求権が、民法に定められていた期間(20年)を経過したことにより消滅しているかどうか、だけでした。旧優生保護法で、不妊手術を強制することが憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)、14条1項(法の下の平等)などに違反し、その違反により被った損害賠償請求権を行使できるかどうか、が争点でした。
 国側は、「民法では、不法行為から20年を経過した場合には、請求権は消滅すると定めている」と主張しました。これは、20年という期間を「除斥期間」と捉え、その例外は一切認めない、という考えです。最高裁判所は、これまでそのように解釈してきていました。しかし、最高裁判所は、不妊手術の強制は憲法違反であるとし、除斥期間についても、「著しく正義・公平の理念に反する特段の事情がある場合」には、期間が経過しても権利は消滅しない、との初判断を示し、これまでの判例を変更したのです。

2 「除斥期間」とは?

 不法行為に基づく損害賠償請求権の時効について、本件で適用される民法の規定は、「損害および加害者を知った時から3年」と「不法行為の時から20年」という二つの規定がありました。本件では、不妊手術は、数十年前に行われたものであり、20年以上の期間が経過しています。最高裁判所はこの「不法行為の時から20年」という規定は「除斥期間」であり、20年を経過すると、一律に請求権は消滅してしまい例外は認められない、と解釈してきました。
 しかし、本件が、国による著しく正義・公平の理念に反する人権侵害であることから、そうした場合には、除斥期間の主張は、信義則違反又は権利濫用であると判例を変更して、国の上告を棄却しました。
 学者の間では、以前から、そもそも除斥期間ではなく時効の問題と解釈すべきと主張されていました。20年経過したら、一律に請求権が消滅するというのではなく、時効期間と考えるというものです。

3 現在の民法(2020年令和2年4月1日から施行)と除斥期間

 現在では、20年というのは除斥期間ではなく、時効期間であると明確に規定されました(現行民法724条)。
 除斥期間ではなく、時効期間であるとどこが違うかというと、一番の違いは除斥期間というのは、20年が経ってしまうと、請求権は自動的に消滅してしまう、ということです。
 時効であれば、完成猶予と更新という制度があります。例えば、裁判を提起して請求すると時効の完成が猶予され、裁判が終了すると、時効が更新されます。
 時効の完成猶予となるのは、裁判上の請求(訴えの提起)、強制執行・競売、仮差押え、裁判外の請求(催告)、協議を行う旨の合意、天災です。
 このうち、時効が更新されるのは、裁判上の請求(訴えの提起)、強制執行・競売だけです。それ以外の、例えば、裁判外の請求(催告 内容証明郵便による請求が典型例です)は、その後6ヵ月は時効の完成を妨げますが、その間に訴訟提起をしないと時効は更新されず、時効が完成してしまいます。

4 時効というのは、長期間続いた事実関係をそのまま認めようとする制度です。

 消滅時効については、「権利の上に眠る者」(権利があるのに長期間行使しない人)は保護しない、また、長期間が経過してしまうと証拠が散逸し、真実を発見することが困難になること、などがその趣旨とされています。
 一般的には、早期に検討し、解決に向けて行動するほうが解決可能性は高くなります。

 今回の旧優生保護法の人権侵害は、当事者に不妊手術であることを知らせないままに手術を受けさせた事例もあり、さらに障害者に対する根強い差別もあり、当事者が声を上げることが不可能であったとの事情を正面から受け止め、「著しく正義・公平の理念に反する特段の事情がある」として、国の上告を排斥しました。
 今後、国は、訴訟提起していない被害者も含め、全面救済をすることが求められています。今後の動向にも注目しましょう。

相続登記の申請義務化について

 不動産登記簿には、所有者の氏名や住所が記載されていますが、土地の相続などの際に所有者について登記が行われないなどの理由で所有者が直ちに判明しない土地や、所有者が判明しても所在不明で連絡がつかない土地が大きな問題となっています。

 所有者が不明の土地の面積は、国土の22%に上るそうで(九州よりも広い!)、公共事業を妨げたり、管理が不十分なため、近隣に悪影響を及ぼすなどの問題が発生しています。 
 所有者不明土地の発生予防のために、民事基本法制の見直しがなされましたが、今回は、その中でも、多くの方に影響がある相続登記の申請義務化についてご紹介します。

1 令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます!

 相続によって不動産を取得した場合、現在は、不動産の相続登記の申請は義務ではありません。令和6年4月1日からは、相続登記の申請が義務化されることとなります。
 相続が発生した時に、遺言がある場合や、ない場合、相続人が複数いる場合や一人しかいない場合などで、遺産分割の話し合いが必要なのかどうかが変わります。

 遺言があれば、遺言により不動産を取得した相続人が、相続登記の申請を行うことになります。遺言がない場合でも、相続人が一人しかいない場合は、不動産を単独で取得した相続人が相続登記を行うこととなります。そして、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を行わなければなりません。

2 遺言がない場合で、相続人が複数いる場合はどうなる?

 相続人全員で、遺産分割の話し合いを行うこととなりますが、遺産分割が3年以内に成立するかどうかによって、登記申請の内容が変わってきます。
 3年以内に遺産分割が成立する場合は、3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請が可能であれば、相続登記申請を行えばよいことになります。
 これが難しい場合は、下記の遺産分割に時間を要するケースと同様の登記申請を行う必要があります。

3 遺産分割の話し合いに時間がかかりそう。相続登記の義務は免除される?

 早期に遺産分割をすることが困難な場合は、「相続人申告登記」を、不動産の相続を知った日から3年以内に行う必要があります。
 「相続人申告登記」とは、登記簿上の所有者について相続が開始したことと自らがその相続人であることを申し出る制度です。
 この申出がされると、申出をした相続人の氏名・住所等が登記されますが、持分までは登記されません。また、登録免許税はかかりません。
 相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申出することが可能で、登記簿に氏名・住所が記録された相続人のみ、相続登記申請義務を履行したこととなる点に注意が必要です。
 遺産分割が成立したら、遺産分割成立日から3年以内に、遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請を行う必要があります。もし、遺産分割が成立しなければ、それ以上の登記申請は義務付けられません。

4 登記義務に違反すると、どうなる?

 正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。
 正当な理由の例として、相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース、遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース、申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケースなどが想定されています。

5 過去の相続にも適用される?
 令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合についても適用されます。
 令和6年4月1日か、相続によって不動産の取得を知った日のいずれか遅い日から3年以内に相続登記を行う必要がありますので、ご注意ください。

6 相続のことについてわからないことは、どうぞご相談ください。

 令和6年4月1日より、相続登記が義務化されますので、遺産分割を行わず放っておくと、過料が科される場合がありますので、早めに遺産分割の話し合いを開始することをお勧めします。


 もし、相続する意思がない場合は、そのままにしておかず、家庭裁判所にて、相続放棄の手続が必要となります(相続開始を知った時から3か月以内の期間制限にご注意ください)。
 遺産分割の話し合いや相続手続には法的な知識が必要なことも多いので、わからないことがありましたら、どうぞご相談ください。

今年も年末となりました

 この一年、皆様はどのように過ごされましたか?
 今夏の猛暑は驚きでした。期間も長いし、気温も本当に高いし、外に出たくない、太陽の下にはいたくないと思う日々でした。来年の夏も同じなのでしょうか?
 冬になった後も、季節外れの暖かい日がありました。どう考えても地球温暖化の影響なのでしょう。それを実感する年でした。

 私自身は、仕事に明け暮れた一年でした。
 皆様の相談は様々です。相続、離婚、債務整理、後見、損害賠償など、分類することはできますが、例えば、相続の相談と言っても、悩みは人それぞれです。その人その人の生きてきた歴史があり、人間関係があり、その人の考えはその人そのものです。分類することにあまり意味はありません。その人その人の悩みをよく聞いて、解決方法を考えることを続けて行きたいです。

 来年も、一人一人の悩み、考え、希望をよく聞き、寄り添いながら、仕事をしていきたいと思います。
 皆様にとっても、来年がいい年になりますように!

  2023年12月
  弁護士  土 肥  尚 子

*事務所は12月29日から1月8日までお休みです。

早いもので、2023年も残りわずかとなりました

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
 私は、今年も、仕事に、育児に、必死にこなしていたら、あっという間に1年経ってしまいました。

 保育園に入園した子どもの体調も安定してきたことに伴い、夏に比べると、体調も安定して業務を行うことができたように思います。ただ、子どもから風邪をうつされた際には、完全に治るまで1か月以上かかってしまったため、風邪を引かないような体づくりが大事だと改めて思いました。

 最近は、子どものお散歩がてら、一駅分歩いたりしていますが、食生活の方は、育児ストレスなのか、ポテトチップス1袋一気食いの衝動に負けることがよくあり、反省しています(最近私がはまっているのは「すっぱムーチョ」というポテトチップスです)。
 お正月も食べたいものをたらふく食べて、来年も頑張りたいと思います!

 みなさまも、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください。
  2023年12月
  弁護士  川 戸  万 葉




暑中お見舞い申し上げます

 毎年のように暑い夏が続き、毎日のように熱中症に気を付けるようにと言われています。
 皆様、お変わりないでしょうか?
 今の世の中、IT化がものすごいスピードで進んでいます。
 裁判も例外ではなく、webでのやりとりが普通になっています。

 裁判所に出頭するのではなく、事務所にいながら、パソコンの画面で、裁判官と相手の弁護士とやりとりする場合がほとんどになりました。

 その後に本人や証人の尋問となります。テレビ番組でもよくあるシーンですね(テレビのようにはうまく行かないのですが)。この尋問は、さすがに現在は、法廷で実際に行われます。
 ただ、メタバース(インターネット上に構築された仮想空間)の話や、最近のスマホの発達を見ていると、将来は、尋問もネットを通じて、ということも有り得るのかと思ったりします。今よりもっと画面や音声もよくなって、臨場感を感じられるようになれば可能なのかもしれません。
 人と人とのつながりも、どうなっていくのか、社会の変化が速すぎて、ついていけないですね。どこまで変わっていくのか、期待もありますが、怖くもあります。
 いずれにしても、人と人との暖かいつながりが感じられる社会であってほしいですね。

2023年 盛 夏
弁 護 士  土  肥   尚  子

*私は8月10日から16日まで夏休みです。





厳しい暑さが続いておりますが、
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 私は、昨年出産した後、東京都の待機児童対策のベビーシッター制度を利用しながら業務を行っていたのですが、年末の事務所通信送付後に、書類不備により制度が利用できなくなり…年度末まで、夫と協力して、在宅勤務もしながらどうにかやり過ごしました。


 そして、4月には、子どもを希望の保育園に入園させることができました!

 保育園に入園することができたので一安心と思いきや、入園直後から、子どもが風邪などに何度もかかり、私ももれなく感染することとなりました。

 そのため、4月から7月の前半は体調が悪く、常に鼻水と咳との闘い、、、免疫力が低下していることを実感しました。
 栄養のある食事と睡眠をしっかりとって、体調を崩さないように頑張りたいと思います。
 アメリカのアリゾナ州では記録的な熱波に見舞われて、道路で転んだだけでやけどを負う人が続出しているそうです。日本ではそこまでの気温ではありませんが、記録的な酷暑が続いておりますので、みなさまも体調を崩されないように、涼しくお過ごしください。

2023年 盛 夏
弁 護 士  川  戸  万  葉





成年後見制度

 今回は、成年後見制度についてです。
 後見人という言葉を聞いたことがあると思います。
 超高齢社会と言われる日本において、介護保険が始まったと同時に2000年4月から、今の成年後見制度が始まっています。その概要を紹介します。
 さらに、今、この制度をより良いものにし、社会全体も、誰もが生活しやすいものにしていこうと改正の論議がなされています。

1 成年後見制度を知っていますか?
 2000年から、認知症、知的障害、精神障害などの判断能力に困難を抱える人に支援者を選任する制度として、成年後見制度が始まっています。
 本人の判断能力の困難性の程度に応じて、後見(判断能力を欠いている)、保佐(判断能力が著しく不十分)、補助(判断能力が不十分)の3類型に分かれていて、それぞれ成年後見人、保佐人、補助人が選任されます。

2 一番利用の多い後見類型について説明します

 4親等内の親族や、本人の住所地の首長が家庭裁判所に後見開始の審判を申立てると、成年後見人が選任されます。成年後見人は本人の法定代理人であり、本人に代わって財産管理を行います。通帳やカードは、成年後見人が保管し、本人のために使用していくのが一般的です。

 また、本人に必要な福祉サービス(介護保険サービスや障害福祉サービス)についても検討したり、契約したりします。特別養護老人ホームなどの施設入所が必要であれば、申込や入所契約を行い、その後の費用支払いも行っていきます。

3 後見人には誰がなるの?

 後見人になるために、特別な資格は、法律上は要求されていませんが、現状では、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が8割程度となっています。
 これに対しては、「同居の子になってほしいと思っていたのに、全然知らない専門職が選任された」など、後見人の人選に不満や批判が言われることがあります。
 後見人に誰が選任されるかは、最終的には担当裁判官が決めることとなっていて、その人選には異議申し立てできません。
 申立てる際に、候補者を挙げることはできます。そのケースが、親族間で意見の違いがない場合や専門性が必要な課題(遺産分割などの法的課題や財産が高額など)が無ければ、候補者がそのまま選任される場合がほとんどです。また、財産が高額、という場合には、候補者を後見人とした上で、専門職の後見監督人が選任されることも多くあります。

 また、当初は、専門職が後見人に選任されたものの、専門性が必要な課題が解決した場合には、親族後見人や地域で養成されている市民後見人に後見人を変わる(リレー方式と言われています)ことも行われています。

4 後見制度改正の動き

 このような後見制度ですが、現在、法改正が議論されていて、数年後には変わっていくようです。
 一番の課題は、現在の制度は、一度後見人が選任されると、原則として一生続いていく、というところにあります。
 例えば、本人の父親が亡くなり、遺産分割の必要性があって申立てられた場合、遺産分割という法的課題があることから弁護士後見人が選任されたとします。遺産分割が終了すれば、あとには特別の法的課題がない、という場合があります。元の平穏な日常生活に戻ったけれども、後見制度は、本人の判断能力が回復しないと取り消せない、ということになっているため、亡くなるまで後見人が財産を管理し続けることとなります。
 しかし、後見人に遺産分割協議だけを行えば、財産管理は本人が行えている、あるいは家族の中で管理できている、というような場合もままあります。  

 現行の制度は、実際のケースの具体的内容に合わせるのではなく、一律に権限が定められているため、実情と合わない場合があるのです。
 さらに、2014年に我が国も批准し、法的拘束力がある障害者権利条約では、日本の成年後見制度のような法定代理人による代理・代行決定の制度は、障害を理由とする差別であるので、廃止すべきとされています。

 基本的人権である自己決定権を尊重し、他者である成年後見人が決定(代理・代行決定)するのではなく、本人自身の意思決定を支援していく仕組みに転換していくことが強く求められています。
 現行の成年後見制度を、必要な時に必要な範囲と期間に利用し、他者決定ではなく、本人の意思決定を支援する制度とするため、白熱した議論がなされています。
 これについては、現在、弁護士をはじめとした専門職、当事者団体、学者、最高裁判所、法務省、厚生労働省から委員が出て、研究会が設けられ、議論されています。(公益社団法人商事法務研究会に「成年後見制度の在り方に関する研究会」)

 障害を持つ人たちを含め、誰もが自分のことは自分で決めていく、そのために必要な情報取得等の支援を受けられる、そんな社会が出来ていけば、誰にとっても暮らしやすい社会になると思います。私たちの社会の在り方にも影響がある制度改正に、ご注目ください。



12月に入り、今年もあと少しになりました

 サッカーW杯は大きく報道され、にわかサッカーファンになった人も多かったのではないでしょうか? 選手たちの言葉も心に沁みました。「その一瞬」のために何年も、一日も怠ることなく努力してきた、という言葉もあり、大舞台での活躍は、地道な努力の先にあるものだと言うことに、改めて思いを致しました。
 それと「新しい景色」という言葉が印象的でした。決勝トーナメント進出で16強となり、あと一勝すればベスト8に初めて進出する、そこで「新しい景色を見る」という意味で言われていました。確かに世界でベスト8になってこと見ること、感じることができるものはあるのでしょう。
 結果は、惜しくも、決勝トーナメント1回戦、PK戦で敗れてしまい、「新しい景色」を見るには至らなかったということではありました。
 でも、一人一人の選手も監督も、かの地で、力の限りを尽くし、出し切ったのであり、やはり「新しい景色」を見たと言えるのではないでしょうか。
 また、同じ地平の話ではないかもしれませんが、誰でも誠実に努力を継続していけば、どこかでその人なりの「新しい景色」が立ち現れる時があるように思います。

 私なりに「新しい景色」を見ることができるように、誠実に努力を続けたいと思います。
 皆様にとっても、来年がいい年になりますように!

   2022年12月弁護士
   土 肥  尚  子

*事務所は12月29日から1月9日までお休みです。

今年も残すところあとわずかとなりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 私は7月に出産したのですが、出産直後から夫が2か月の育休を取得してくれたため、二人で子どもの世話をすることができ、ゆっくりと体を休めることができました。
 業務の方は、在宅勤務から始めて、現在は事務所に出勤して業務を開始しています。
 勤務開始に向けて、保育園の申込みをしたのですが、年度途中での入園はやはり難しく、通える範囲で空いている保育園はありませんでした。自宅から一番近い保育園は、26名待ちの状況です。
 いまだ待機児童問題は健在なのですが、私は、東京都のベビーシッター利用支援事業を利用して、子どもを預けることができました。この制度では、待機児童対策として、東京都がベビーシッターの利用料を助成してくれるため、1時間150円でシッターを依頼することができます。保育時間は、保育園と比べると短めになりますが、保育士さんや子育て経験が豊富な方にお願いできるため、安心して子どもを預けることができます。
 あまり認知されていない制度で、利用できる区(市)も限られているのですが、この制度がもっと広がって、働きたいお父さん、お母さんたちの選択肢が増えれば良いのになと思います。

  2022年12月
  弁護士 川 戸  万 葉

 上は8月。左は12月撮影

相続土地国庫帰属制度

 実家の土地を相続したが、遠くに住んでいて利用する予定がないし、管理も大変だ、と悩まれたことはありませんか?
 令和5年4月に、相続した土地を国が引き取る制度(相続土地国庫帰属制度)がスタートします!
 今回は、相続土地国庫帰属制度についてご紹介します。

1 申請ができるのはだれ?

〇相続又は遺贈(以下、「相続等」と言います)により土地の所有権を取得することが必要です。
 したがって、売買により土地を取得された方は、この制度を利用することはできません。

〇共有者も申請ができます
 相続等により、土地の共有持分を取得した共有者は、共有者の全員が共同して申請を行うことによって、本制度を活用することができます。

 また、売買によって共有持分を取得した共有者がいる場合でも、相続等により共有持分を取得した共有者がいるときは、共有者の全員が共同して申請を行うことによって、本制度を活用することができます。
 本制度開始前に相続等した土地も本制度の対象となりますので、数十年前に相続した土地についても、本制度の対象となります。

2 どのような土地であれば引き取ってもらえる?

 どのような土地でも国が引き取ってくれるわけではありません。下記のような通常の管理や維持に必要以上の費用や労力がかかる土地は、管理が大変であるため、引き取ってもらえません。

 ××このような土地は制度の対象となりません××

  1. 建物がある土地
  2. 担保権や使用収益権が設定されている土地
  3. 通路など他人によって使用されている土地
  4. 土壌汚染されている土地
  5. 境界があきらかでない土地、所有権の存否や範囲に争いのある土地
  6. 崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地
  7. 工作物や樹木、車両などが地上にある土地
  8. 除去が必要なものが地下にある土地
  9. 隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地
  10. その他、通常の管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地

3 国に納付する費用はいくら?

 土地所有権の国庫への帰属の承認を受けた場合、10年分の標準的な管理相当額を負担金として納付する必要があります。どのような管理行為(巡回のみで足りるか?柵設置、看板設置、草刈などが必要か?)が必要となる土地かによって負担金は変わります。
 宅地の場合、巡回のみで足りる土地は面積に関わらず20万円ですが、草刈などの管理を要すると考えられる一部の市街地等(都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域)の土地については、土地の面積に応じて負担金の額を算定することになり、例えば100㎡で約55万円、200㎡で約80万円となります。面積が大きくなるにつれて1㎡当たりの負担金額は低くなるため、単純比例ではないことに注意が必要です。

田、畑も、巡回のみで足りる土地は面積に関わらず20万円ですが、一部の市街地、農用地区域等の田、畑については面積に応じて算定することになり、500㎡で約72万円となります。
 森林は面積に応じて算定され、1500㎡で約27万円、3000㎡で約30万円となります。

4 手続の流れ

 法務局で、申請書と必要な添付書類を提出し、審査手数料を納付します(審査手数料の金額はまだ決まっていません)。その後、法務大臣(法務局)による要件の審査・承認手続が行われ、国庫への帰属の承認を受けた場合、負担金を納付することにより、土地が国庫に帰属することとなります。

5 おわりに

 相続土地国庫帰属制度を利用できれば、要らない土地を手放すために買い手を探す必要もなく、国に引き取ってもらうことができます。他方で、上記で見たとおり、この制度を利用するためには様々な条件を満たす必要があります。建物が建っている土地は更地にするために建物の取り壊し費用がかかったり、また、土地の境界が不明確な場合は、申請前に境界を確定するための測量が必要になりますので、別途それらの費用がかかることに注意が必要です。
 要らない土地を相続で取得してしまい、制度を利用したいという方は、お気軽にご相談ください。