「自分の将来に備える任意後見制度」2010年夏号

 今回は、自分の将来に備える任意後見制度を紹介します。

1 誰でも老後が来ます

 日本が、世界でもトップスピードで、高齢者が多い社会になったことは、よく知られています。現在、高齢者の問題は、毎日のように報道されていて、自分の老後が安心、と言う人は、あまりいないと思います。
8-1 前に、「とにかく願いは、『PPK』よ」と言う話を聞きました。PPK?? 何かと思ったら、「ピンピンコロリ」だそうです。健康に暮らしてある日突然「コロリ」とあの世に旅立つ、それが理想だということでした。
 「人様に迷惑をかけたくない」というのは、誰しも思うところですし、人生の最後まで、元気にいたい、というのは、確かに、万人の希望ですね。それが確実に叶うとは限らないから、誰もが不安を抱えるのですよね。

2 「備えあれば憂い無し」8-2

 万が一のときの備えをしておくのは、大事なことです。 今の時代で、不安なのは、やはり認知症などで、判断能力が低下してしまうことではないでしょうか? 自分で判断ができているうちは、「それなら、こうしよう!」と決めることができるわけですが、それができなくなったらどうなるのか? それでも、自分が自分として尊重され、安心して暮らしていくことができるのだろうか?
8-3 誰でも、考えると不安になります。そんな時に、自分のことを、いろいろと考えてくれる責任者が、後見人ということになります。

3 任意後見制度って?

8-4 自分の将来の後見人を決めておく制度です。具体的には、公正証書を作るのですが、すぐには変化はありません。
 将来、自分の判断能力が低下したときに、初めて、予め頼んでおいた人が、任意後見人として、あなたに代わって動いてくれるのです。
 また、その人を監督する人も、家庭裁判所によって選ばれます。

4 法定後見制度との違い

 後見人って、最近よく聞くけど、利用している人が多い制度なの? と思われたかも知れませんが、それは「法定後見」という制度の後見人である場合がほとんどです。
8-5 自分で選んだ後見人ではなく、家庭裁判所が選んだ後見人です。確かに、いろいろと調査して、適任者を選んでくれるのではありますが、それまでの自分とは縁がなかった人が選任されることもよくあります。
 対して、任意後見制度は、自分で、「この人なら信頼できる」と思う人を、予め選んでおくことができる制度なのです。自分で選んで、自分の気持ちや、将来の生活設計、はたまた医療に対する考え方などを、伝えておくこともできます。
 自分らしさを、大事にできるということです。

5 まとめ

8-6 人生50年と言われた時代は遠くになり、老後が長くなった現代。いつでも自分の人生の主人公は、自分自身です。任意後見制度は、任意後見人が、あなたの後見人として働き、それを任意後見 監督人が監督し、さらに家庭裁判所に報告する、という信頼性の高い制度です。
 どんな状況になっても、自分らしく生き抜いていくために、一度、検討してみては、いかがでしょうか?