「約100年ぶりの保険法改正」2008年8月号

 今回は、保険です。

1 約100年ぶりの保険法改正

 今年5月30日、保険契約に関するルールを定める保険法が成立しました。これまでは、商法の中に規定されていましたが、新たな単行法として制定されたものです。
 日本は、社会保障が不十分なこともあり、保険に加入する人が多い国です。生命保険料の世界市場におけるシェアを見ると、アメリカと日本が双璧を為し、保険大国と言われています。4-1
 今後も、後期高齢者の医療問題など、老後への不安を考えれば、ますます保険への関心や需要は高くなると思われます。
 保険契約に関しては、明治32年に商法 第2編第10章に規定されたままでしたが、今回、約100年ぶりに改正されました。

2これまで規定のなかった保険もカバー

 保険には、生命保険と損害保険とそれ以外のいわゆる第三分野の保険(疾病保険、傷害保険など)の3種類があります。 第三分野の保険は、これまでの商法には規定がありませんでした。また、共済契約 も適用の対象ではありませんでした。保険法ではこれらの保険も取り込み、規定しています。

3 告知義務について

 保険法の内容で、従前と改正されたものはいくつかありますが、告知義務についての改正は、重要です。
(1)告知義務違反による解除
 「告知義務」という言葉を聞いたことがありますか?
4-2  保険に入る時に、重要な事実 を告げなくてはならず、重要な事項について不実のこと(虚偽)を告げてはならないという義務です。告知義務に違反しますと保険会社は保険契約を解除できますので、保険金は支払われないこととなります。
 例えば、保険に入る際、セールスの人(保険募集人)に、「そんなこと言わないで大丈夫」と言われ、病歴を言わなかったところ、後日、保険会社が保険金の支払を拒否する、という形で問題になります。
 「セールスレディには、言ったのに、どうして、今頃解約されるの?」と紛争になることも多いのです。4-3
(2)変更内容

この点について、保険法は、告知義務を、保険会社から質問された事項について告知すれば足りることとしました。つまり、保険に入る側が、「これを言わないといけないのか?」と悩む必要は無く、保険会社から聞かれたことに、正確に回答すれば足りるということになります。
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 また、保険募集人から「そんなことは言わないように」などと「告知妨害」があった場合には、保険会社は保険契約を解除できない、つまり保険金を支払わなくてはならないこととなりました。保険に入る際には、保険会社が回答を求めている告知事項をきちんと確認し、それに対し正確に回答し、それが保険会社に確実に伝わるようにすることが大事です。
 保険募集人には、告知受領権は無いので、セールスの人には言った場合であっても保険会社に伝わっていなければ、告知義務を果たしたことにはならないとされています。注意が必要です。4-5

4 生命保険の保険金受取人の変更

 保険金受取人の変更は、従前も可能でしたが、これが「原則自由」であることが規定され、合わせて、指定変更の規定が整備されました。また、保険金受取人の変更は、遺言によっても可能であることも明文で定められました。

5 施行日

 保険法は公布の日である平成20年6月6日から2年以内の日を施行日とする予定です。新しい保険法は、原則としては、その施行日以後の保険契約に適用されることとなります。但し、保険金の支払時期(必要な調査期間経過後は遅滞となる)など一部の規定は、施行日前の契約であっても適用されることとなりそうです。
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 生命保険や火災保険、自動車保険など、保険契約は、大変馴染み深いものでありながら、内容は保険会社任せで、よく分からない、という人が多いのではないでしょうか? 万が一の備えが保険です。「万が一」のときが来ないに越したことはありませんが、その時になって困らないよう、また、もらえるはずの保険がもらえない、と言うことが無いよう、一度自分の保険契約をよく点検してみてはいかがでしょうか?