「知っているようで知らない『お墓の話』」2012年冬号

知っているようで知らない「お墓の話」
 お墓参りに行ったことが無い人はいな いと思いますが、お墓のことは意外と良く分からないという人も多いのではないでしょうか?
 豆知識をまとめてみました。

1 お墓の種類

 お墓にもいろいろな種類があります。 経営主体により分けるのが一般的です。
①公営墓地
 都立霊園など、地方公共団体が経営している墓地です。
 管理がしっかりしていて、費用も安い、宗旨を問わないなどの利点がありますが、競争倍率が高く、なかなか取得できない場合も多いようです。
②寺院墓地
 お寺が経営している墓地で、お寺の境内にある場合がほとんどです。墓地を取得する場合には、寺院との檀信徒契 約をすることが前提となります。
 つまり、墓地を購入すると同時に、その寺院の檀家となるのです。費用はお寺により様々ですが、有名なお寺では 高くなるようです。また、檀家として護寺会費を支払うなどの義務が生じます。
③ 民営墓地
 最近では、さまざまな墓地があります。宗旨を問わず、お墓の建て方も自由な場合も多く、数も多く利用しやすいので すが、費用も高い場合もあります。それぞれの事情に合わせ、よく内容を確かめて、お墓を選ぶことが大事です。

2 お墓の購入とは?

 お墓を新規に建てる場合、「お墓を買う」とよく言います。
 この場合、お墓を建てる土地を「買う」と言っても、所有権を買うのではなく、『永代使用権』を買うことになります。土地が自分のものになるのではありませんが、その土地をお墓として「永代にわたって使用できる権利」を購入するのです。
 その内容については、墓地所有者との契約により決まることとなります。地方公共団体の墓地については、使用規則や 管理規則などの定めがあると思いますので、その内容をよく検討することが大切です。メールアドレス変わりました。また、寺院墓地については明文の定めがなく慣習で決まっているものもかなり ありますので、内容をよく確認する必要があります。
 民営墓地の場合には、新規のお墓の募集をするに際しての説明があるはずですので、それにより内容をよく確認するこ ととなります。
 いずれにしても墓地は、容易に動かすことができない固定性や永久性という特殊な性質がありますので、永代使用権と言うのは永久的な性格を有します。

3 納骨堂とは

 納骨堂とは、他人の委託を受けて遺骨を収蔵するための施設のことです。
 納骨堂として都道府県知事の許可が必要です。納骨堂は、墓地とはことなり、遺骨を預かってもらうという関係であり、永代に使用するということはなく、通常は使用期間が決められています。それ以上に使用したいのであれば更新手続 が必要となります。

4 墓石の工事

 新しくお墓を取得する場合、墓石を建てるのが一般的と思われます。この墓石の工事について、石材店が指定されていることがあります。これは、一般的には、墓地の管理の都 合からなされているようです。つまり、工事に際してのトラブルが起こった場合に、寺や霊園になじみのあり業者であったほうが対応しやすいという理由のようです。
 こうした制限は、一概に不合理とは言えないと考えられていますので、石材店の指定には従うことが必要です。どうしても他の石材店に依頼したいと言う事情があれば、墓地経営者に事情を説明して了解を得る必要があります。

5 お墓の承継

 お墓を承継するのは、祭祀承継と言い、不動産や預貯金などの遺産とは別個に扱われます。遺産は、相続人が共同で相続し、具体的には遺産分割協議などの手続が必要ですが、お墓は、そうした遺産とは別扱いです。
 お墓については、それまでお墓を所有していたひとが指定していた人、慣習あるいは家庭裁判所い指定により承継した人が単独でお墓を承継します。祭祀承継者は、当然にお墓の権利を承継しますので、姓が異なる、あるいは女子であるなどの理由で祭祀承継を拒否することはできません。
 承継した人は、墓地や霊園、寺院などに届け出て、お墓の管理をしていくことが必要となります。その場合、管理費や、寺院墓地であれば、檀家としてお寺の維持管理に必要な費用の負担を求められることがあるでしょう。これらの負担を拒 否すれば、事実上墓地を使用できない事態になってしまいます。お墓の所有者側とよく話し合ってお墓を守っていくことが必要です。