1 親権、養育費の新しい制度について
令和6年5月に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法が改正され、こどもを養育する親の責務の明確化とともに、親権、養育費、面会交流などに関するルールの見直しを行われました。
そして、令和8年4月1日より、改正法が施行されることが決まり、離婚後の共同親権や、養育費の未払いに対応するため、法定養育費の制度や養育費請求権の先取特権が付与されることになりました。
2 共同親権について

今までは、離婚するときに、父か母のいずれかを親権者に定めてしていましたが(単独親権)、令和8年4月1日からは、単独親権か、あるいは、親権者を父母双方と定める(共同親権)こともできるようになります。
共同親権となった場合でも、食事や服装の決定、短期間の観光目的での旅行、心身に重大な影響を与えない医療行為の決定、通常のワクチンの接種、習い事、高校生の放課後のアルバイトの許可などの日常の行為については、単独で親権の行使が可能ですが、こどもの転居、進路に影響する進学先の決定、心身に重大な影響を与える医療行為の決定、預金口座の開設などは、父母が協議して共同して決めなければならないということになります。
ただし、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合は、父母の一方が単独で親権を行うことができるとされています。例えば、DVや虐待からの避難をする必要がある場合、こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合、入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合がそれにあたります。

父母が共同して親権を行うべき特定の事項について、父母間で意見の対立がある場合は家庭裁判所に、親権行使者を指定するよう求めることができます。
しかし、親権行使者の指定の手続については、どの程度の頻度で裁判所の期日が開かれることになるのか分かりませんが、従前の家事調停では1か月~1か月半に1回程度の頻度で調停期日が開催されていたということを考えると、家庭裁判所に、丁寧かつスピーディな判断を求めることは難しいように思います。
3 法定養育費について
これまでは、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでしたが、今回の改正により、養育費の取決めをしていなくても、子1人つき2万円の法定養育費を請求することができるようになります。これは、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものですので、父母が養育費の取決めをすれば、法定養育費は終了します。
また、法定養育費の規定は、改正法施行後に離婚したケースのみに適用されるため、改正法施行前に離婚した場合は、法定養育費は発生しません。
4 養育費請求権の先取特権について
これまでは、養育費の支払を取決めしていたとしても、別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判などの「債務名義」が必要でした。

今回の改正により、養育費債権に先取特権という優先権が付与されるため、債務名義がなくても、子1人につき8万円までは、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。
注意していただきたいのは、先取特権に基づいて財産の差し押さえをするためには、公正証書、調停調書は必要ありませんが、合意書など父母間で作成した養育費に関する取決めの文書は必要であるということです。
また、子1人つき8万円を超える養育費の取決めを行う場合には、公正証書等の債務名義を取得しておかなければ、別居親が養育費の支払いを行った時に財産の差し押さえを行うことができないということです。
5 以上のとおり離婚後の子の養育に関する新しい制度ができました。

これから離婚を考えている方は、新しい制度も踏まえた離婚協議や調停手続等を行うことをお勧めします。分からないこと、不安なことがありましたら、どうぞご相談ください。















先日(7月3日)、最高裁判所で、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判で、国に賠償責任があるとする判断が確定したとして大きく報道されました。 


















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どのような土地でも国が引き取ってくれるわけではありません。下記のような通常の管理や維持に必要以上の費用や労力がかかる土地は、管理が大変であるため、引き取ってもらえません。
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