1 クーリングオフについて
クーリングオフの制度というのは、一定期間に、無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。特定商取引法という法律で定められているものが有名で、業者と消費者との間の一定の契約について規定しています。通常の契約は、解除事由 がなければ契約の解除ができず、代金を支払わなければならなかったり、違約金を取られたりするのですが、クーリング オフの制度を利用できる場合であれば、解除事由がなくても解除して責任を免れることができます。以下2、3では、特定商取引法のクーリングオフの制度について取り上げます。
2 特定商取引法のクーリングオフが利用できる期間
訪問販売(自宅訪問、ホテルなどの会場で行う契約)、電話勧誘販売(電話で勧誘して行う契約)、特定継続的役務提供(エステや英会話などの継続的な契約)、訪問購入(下記3参照)は、法定書面を受け取ってから8日以内、連鎖販売(マルチ 商法)、業務提供誘因販売取引(内職・モニター 商法)は法定書面を受け取ってから20日以内であればクーリングオフが可能です。3 訪問購入について
平成25年2月21日から新たに施行されたのが訪問購入です。訪問購入は訪問販売の逆で、業者が消費者の自宅等を訪ねて来て、商品の買取を行うというものです。貴金属等の買取トラブルが増えてきたことから、この規定が新設されました。例えば、金の買取をしたいという業者が来て、言われるままに金を売ってしまい、よくよく考えたら安すぎた、金を取り返したい、というような場合はないでしょうか? このような場合にも、クーリングオフの制度を利用して、金を取戻すことが可能です。貴金属に限りません。
4 特定商取引法以外のクーリングオフ制度
特定商取引法以外のクーリン グオフ制度もいろいろとあります。例えば、不動産の売買は、自宅で売買契約を締結したような場合、宅建業者が売主、消費者が買主の場合は書面受領後8日以内であれば、宅建業法でクーリングオフが可能です。有料老人ホームの契約についても、入居して90日以内であれば、老人福祉法でクーリングオフが可能です。
5 クーリングオフの利用は迅速に
クーリングオフの制度は、無条件で一方 的に解除ができる非常に便利な制度ですが、「法定書面」を受領してから8日や20日以内に、書面で解除の意思表示をしなけれ ばなりませんので、制度を利用するためには期間制限に気を付けて迅速に行う必要があります。もっとも、「法定書面」とは、法律に規定されている項目を全てもれなく記載する必要があるため、例えば、商品の型式や事業者の法人代表者名などの記載や、クーリングオフの内容 について赤枠・赤字・8ポイント以上の活字で記載しなければ有効な書面とは認められず、記載が欠ければ期間が経過していたとしてもクーリングオフできます。
締結してしまった契約をクーリングオフできるかお悩みの方は、一度ご相談下さい。